大判例

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仙台高等裁判所 昭和56年(う)84号 判決

所論は要するに、原判決は被告人菅原宏の原判示第二の一の所為につき、公職選挙法一三八条一項を適用し、同被告人を有罪としたが、戸別訪問による選挙運動を禁止した右法条は、表現の自由を保障した憲法二一条に違反する違憲、無効な規定であるから、同法条を適用した原判決には、破棄されるべき法令適用の誤りがある、というのである。

しかし、公職選挙法一三八条一項の規定が憲法二一条に違反するものでないことは、最高裁判所がこれまでしばしば判示しているとおりであつて(最高裁判所昭和二四年(あ)第二五九一号同二五年九月二七日大法廷判決、同四二年(あ)第一四六四号同年一一月二一日第三小法廷判決、同四三年(あ)第二二六五号同四四年四月二三日大法廷判決、同五五年(あ)第八七四号同五六年六月一五日第二小法廷判決参照)、戸別訪問の禁止によつて失われる利益は、戸別訪問を手段とする意見表明の自由が制約されることであるが、禁止により得られる利益は、戸別訪問という手段方法のもたらす弊害を防止することにより得られる選挙の自由と公正の確保であるから、得られる利益は失われる利益に比べはるかに大きいと解されるところ、かかる社会的利益、不利益を比較衡量のうえ、戸別訪問による選挙運動を禁止するか否かを決定することは、国権の最高機関である国会に委ねられた立法政策の問題というべきであつて、戸別訪問を一律に禁止している公職選挙法一三八条一項の規定は、合理的で必要やむを得ない限度を超えるものではないから、憲法二一条に違反しないと解される。

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